バイオ・ジャパン開催 ― 遺伝子治療の最前線に注目集まる

2014年10月15〜17日の3日間にかけて、バイオビジネスにおけるアジア最大のパートナリングイベントである「バイオ・ジャパン」がパシフィコ横浜にて開催され、国内外から600を超える企業や大学が参加し、展示会やセミナーなどを行いました。このバイオ・ジャパンで16日の15:00より行われた、先端医療研究センター遺伝子治療開発分野教授の小澤敬也氏(東京大学医科学研究所 附属病院長)がコーディネーターを勤めるセミナー「遺伝子治療・細胞治療の実用化に向けて」では、近年AAVベクターの登場によって安全性が高まったことにより研究が盛んになっている、遺伝子治療や細胞治療の最新の動向について紹介しました。このセミナーは、タカラバイオ株式会社本部長の峰野 純一氏による「遺伝子治療・細胞治療の国産化を目指して〜遺伝子・細胞プロセシングセンター〜」、治医科大学教授の水上 浩明氏による「AAVベクターの有用性と臨床応用の展望」、JCRファーマ株式会社専務取締役の立花 克彦氏による「我が国における急性GVHDを対象とした間葉系幹細胞の臨床開発」といったテーマで行われました。

遺伝子治療と細胞治療の動向について

遺伝子治療は1990年代に臨床試験のピークを迎えましたが、その深刻な副作用のために近年まで長らく停滞していました。しかし、近年になって遺伝子操作Tリンパ球療法をがん治療に用いる研究や、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターの開発により安全性が高く対象疾患の幅が広い遺伝子治療の研究に再び注目が集まり、欧米では臨床成功例が相次いでいます。また、細胞治療では移植後の重症急性GVHDに対して、MSC(間葉系幹細胞)を用いる方法が、日本で初めての細胞治療として認められることに期待が寄せられています。なお、昨年世界で行われた遺伝子治療件数は、前年と比較して19件多い120件となっており、世界的に遺伝子治療に注目が集まっていることが分ります。

遺伝子治療に期待されること

遺伝子治療には、次のような疾患の治療に期待が寄せられています。AAVベクターを用いる方法として、レーバー先天性黒内障、血友病B、パーキンソン病、重症免疫不全症など、これまで治療が困難とされ難病として扱われていた疾患の治療が挙げられます。また、CAR(キメラ抗原受容体)を用いる方法として、慢性リンパ性白血病の治療が挙げられます。1度の治療で数年間も効果が持続するという成功例も出ており、今後の実用化に向けた取り組みに注目です。
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