富士フイルムのアビガン錠、追加生産決定

2014年10月20日、富士フイルム株式会社は抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」を追加生産することを発表しました。これは、エボラ出血熱が世界的に猛威を振るっていることを受けたもので、患者への投与拡大に向け、海外での使用を目的に生産拡大を行うものです。「アビガン錠」は抗インフルエンザ薬として今年3月に日本国内での製造販売の承認を取得したものですが、エボラ出血熱の原因ウイルスであるエボラウイルスのRNAポリメラーゼの働きを阻害することにより、エボラウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することがマウス実験にて発表されています。これまでに、欧州各国より政府や医療機関からのアビガン錠提供の要請を受け、日本政府と富士フィルムが協議をした上で、西アフリカから欧州に搬送されたエボラ出血熱患者複数名に対して緊急投与されています。11月中旬からはフランス政府とギニア政府がギニアにおいて、アビガン錠のエボラウイルスに対する臨床試験を60人規模で行う予定で、更なる臨床試験の拡大を見据え、この臨床試験に合わせた11月中旬より追加生産を行うことを決定した模様です。さらに、現在2万人分の錠剤および30万人分の原薬を所持していると発表した上で、さらに感染が拡大した際にも十分な量のアビガン錠を安定供給するためにも、追加生産の必要性があるとしています。なお、富士フィルムは今後も日本政府との協議の上で、エボラ出血熱感染国に対してアビガン錠の提供を行っていく意思を表明しています。

アビガン錠の日本での使用について

アビガン錠はこれまでに、フランス、ドイツ、スペイン、ノルウェーにおいてエボラ出血熱患者に投与され、他の未承認薬と併用投与された患者2名の症状が改善しています。日本では、抗インフルエンザ薬としてのみ製造販売が承認されてきましたが、今回のエボラ出血熱の感染拡大という緊急事態において、日本でエボラ感染患者が現れた場合はアビガン錠の使用を許可することが10月24日に決定しました。11月中旬よりギニアで始まる臨床試験が、エボラ出血熱に対するアビガン錠の初めての試験となることから、ここで効果および安全性が認められた場合は、さらなる生産拡大と日本での安定供給が見込まれると予想されます。

アビガン錠について

エボラウイルスはインフルエンザウイルスと同様に一本鎖(-)RNAウイルスであり、その増殖にはRNA依存性RNAポリメラーゼが必要不可欠です。アビガン錠はこのポリメーラゼの働きを阻害し、細胞感染拡大を防ぎます。この作用機序より他の一本鎖(-)RNAウイルスの感染も阻害することが期待されており、10月21日(イギリス現地時間)にはケンブリッジ大学にてアビガン錠がノロウイルスにも効果があることをマウス実験結果により公表しています。