経産省 再生医療の他家細胞入手について、報告書取りまとめる

2015年5月19日に経済産業省製造産業局生物化学産業課は、「再生医療の産業化に向けた原料細胞の入手等に関する調査報告書」を取りまとめ、公表しました。この調査報告書は、法改正などにより再生医療の足場が固まったにも拘らず、患者本人以外の細胞である「他家細胞」の安定的な入手が困難な現在の日本において、企業が再生医療の産業化へと乗り出す為にも、日本国内でヒト他家細胞を入手する際の課題や対応策について、考察・検討を行なったものです。

日本における他家細胞由来製品の現状について

現在、再生医療に関する法の整備が行なわれたことで、患者本人の細胞である「自家細胞」を使った製品は製品化されていますが、他家細胞製品は海外に遅れを取っている状況です。他家細胞由来製品は、自家細胞由来製品にはない特性や、大量生産による品質管理およびコスト面でのメリットなどがあり、安定的な入手が可能になれば、培養皮膚・滑膜由来幹細胞・歯髄由来幹細胞・脂肪組織由来幹細胞など、様々な有益な再生医療製品の開発が見込まれています。また、日本国民に対して行なわれた再生医療に関する意識調査の結果によれば、提供相手に関わらず自分の細胞を無償で提供することを厭わないという意見も全体の約3割程度見受けられ、自分の細胞が製品化されてもよいという意見は全体の約6割にも上っています。

今後の課題と対策について

こうした現状の中、見出された課題には、再生医療製品の品質確保および採取・利用に対する国民からの理解、持続可能な仲介機関の介在、社会的認知の向上などが挙がりました。経済産業省はこれらの課題を受け、実際に他家細胞を入手・提供するための検討について、当面は手術摘出物を対象にしつつ、品質確保などの技術的な検討と並行して行なっていく必要性があるとしました。また、今後の見通しとして、健康なボランティアドナーからの再生医療製品に適した細胞の提供を受ける為、および創薬研究に用いるヒト細胞・組織を入手する為に、課題の整理を行なうことが望ましいとしました。