レジエンスと慶應大が共同研究、移植可能な肝臓の開発に向けて

2015年4月9日にレジエンス株式会社(以下「レジエンス」)と慶應義塾大学医学部は、肝臓を対象とした再生医療等製品の開発に関する共同研究契約を締結したことを発表しました。この共同研究では、肝硬変および新生児先天性代謝異常症の根治療法に向けて、肝臓組織や肝臓そのものの開発および新たな肝組織移植術式の開発を目指します。慶應義塾大学医学部の特任教授で移植・再生の橋渡し研究の世界的権威である小林英司氏は、「ヒト臓器を作る研究」の実験モデル動物に解剖学的にヒトとの類似性が高いブタを使っており、このブタを使った再生医療研究は日本において先駆け的な位置づけでもあります。当共同研究において、小林英司氏のチームは、ヒト肝臓組織や肝臓そのものをブタに産生させる試み、およびこの産生した肝臓組織または肝臓をヒトへ安全に移植することが可能なのかについての術式を含めた検討を行ないます。また、レジェンスは、ヒトへの移植が可能な肝臓組織の開発を行い、最終的には肝臓そのものの開発も行なう見込みです。この共同研究によって、全国で40~50万人いるとされている肝硬変患者におけるドナー不足を緩和し、生まれつき肝臓の機能が低下しており肝性脳症になる危険性が高い新生児先天性代謝異常症患者の肝性脳症を防ぐことが可能となる見込みです。

各代表者のコメント

慶應義塾大学医学部の小林英司氏は、世界をリードしている日本の再生医療基礎研究を実際の治療に役立てるには、学閥や国を超え、研究者はもちろんのこと企業や社会が貢献することも欠かせないとし、新規治療法を待つ患者のためにも今回の垣根を越えたプロジェクトを成功させたいと抱負を述べました。また、レジェンス代表取締役社長CEOの村山正憲氏は、再生医療における安全性および有効性の動物実験には、ブタやサルといった中動物が必要不可欠な要素であるとし、日本の再生医療分野でブタを実験モデル動物に使用した先駆者でもある小林氏とともに、人類の夢である移植可能な臓器の開発に向けて突き進みたいと期待を覗かせています。

肝硬変および新生児先天性代謝異常症治療の現状について

肝硬変は、進行すれば肝臓がんや肝不全にも進展する重大な疾患にも拘らず、根治療法は肝臓移植のみで、ドナーが不足しているのが現状です。ドナー待ちの間、肝硬変患者は治療が受けられず、こうしたドナー待ち患者は多数存在しています。また、肝硬変と同様に根治療法が肝臓移植のみの新生児先天性代謝異常症患者は、新生児であるために肝臓移植さえ行なえず、移植適齢となった頃には、肝機能低下のために血液中に溜まった毒素などが脳に到達し、脳機能が低下する肝性脳症に罹っている場合もあり、深刻な後遺症が残ることもあります。