富士フイルムが米ワクチンCMO獲得 ー バイオ医薬品事業を拡大

2014年10月27日に富士フィルム株式会社は、自社の子会社であるFDBU(FUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA., Inc.)を通じて、アメリカテキサス州のKalon社(Kalon Biotherapeutics, LLC)を買収することを発表しました。Kalon社はバイオ医薬品受託製造会社(CMO)で、ワクチン製造に強みを持っていることから、この買収により富士フィルムがワクチンCMO市場に乗り出すこと、およびバイオ医薬品事業を拡大することが明らかとなりました。また、既にFDBUはKalon社の持分所有者と、Kalon社の持分譲渡に関する提携を結んでいることも発表しました。この決済手続きは数ヶ月以内に行われる見通しで、Kalon社の49%の持分を取得する模様です。これにより、Kalon社の取締役の過半数が富士フィルムグループより選出されることとなります。今後は、この持分比率を100%まで上げていくとのことです。

Kalon社について

Kalon社は、テキサス州およびテキサスA&M大学を持分所有者にもち、2011年にテキサスA&M大学によって設立されました。アメリカ保険福祉省傘下にあるBARDA(米国生物医学先端研究開発局)よりCIADM(Center For Innovation In Advanced evelopment and Manufacturing)の一つに定められている、高度な技術と最先端設備を併せ持ちます。特に、動物細胞培養法によってワクチン製造を行うことに強みを持ち、かつ世界最高水準のウイルス封じ込め技術を保有していることから、危険性の極めて高いウイルス(新型インフルエンザ・エボラなど)に対するワクチンの製造を安全に行うことが可能です。また、Kalon社のワクチン製造施設は増設が容易であり、多品種のワクチンを同時製造可能であることから、ワクチンの増産要請および多品種少量生産要請にも柔軟に対応できます。

今後の富士フィルムの見通し

現在、富士フィルムは世界問題となっているエボラウイルスの未承認治療薬「アビガン錠」(抗新型インフルエンザ薬としては承認済み)で世界各国から注目を浴びています。11月からはフランス、ギニア政府と連携してアビガン錠の臨床試験およびそれに伴う増産なども予定されています。また、現段階でエボラウイルスに対抗するワクチンは生産されておらず、一刻も早い抗エボラウイルスワクチン製造が必要とされています。ここへきて、今回の買収発表があったことから、富士フィルムが抗エボラウイルス薬と併せて、抗エボラウイルスワクチンの製造に乗り出すことが予想されます。これらも踏まえてか、富士フィルムは、自社調べとしてワクチンCMO市場の伸び率を年率10%以上と予想しています。