イナリサーチがiPS細胞を使い再生医療技術を共同開発

2014年11月12日に株式会社イナリサーチ(代表取締役社長:中川賢司氏)は、信州大学医学部とのiPS細胞を使った再生医療技術の共同開発について、移植試験を開始することを発表しました。この再生医療技術とは、iPS細胞から心筋細胞を作製し、心筋梗塞により壊死した心臓の一部にこれを移植することで、心臓の機能を取り戻すという技術です。イナリサーチは、2013年5月1日より信州大学医学部循環器内科学教室(池田宇一教授)の柴祐司講師チームと共同研究を行なっており、iPS細胞の心臓への移植試験を移植免疫寛容霊長類モデル(MHC統御カニクイザル)を用いて行なう準備を進めてきました。今回、カニクイザルの心臓への施術法や、3DマイクロCTスキャン装置の測定条件設定など、この移植試験の準備が整ったため、イナリサーチのレンタルラボにおいて移植試験が開始されることとなりました。この共同研究では、イナリサーチ側から研究員の派遣、MHC統御カニクイザル、サル専用の試験施設、サル試験の経験を豊富に持つ技術者、レンタルラボなどを提供しています。イナリサーチは、この研究が今期の業績に与える影響はほんの僅かであるとしながらも、この研究が進展することで、MHC統御カニクイザルやレンタルラボなどの認知度が高まり、カニクイザルの販売やカニクイザルを使った各種受託試験、レンタルラボの需要拡大など、来期以降の業績への好影響が期待されるとしています。

MHC統御カニクイザルについて

イナリサーチが東海大学と共同開発した遺伝子解析方法により、免疫に関わる遺伝子型を揃えているカニクイザルを指します。MHC(主要組織適合遺伝子複合体)遺伝子とは、外来抗原の非自己認識や免疫反応に関与しているタンパク質の遺伝子情報を含むもので、カニクイザルのMHC遺伝子がヒトのものととても類似しているため、ヒトに最も近い試験系として利用価値が評価されています。イナリサーチはこのカニクイザルを、移植・再生医療技術の開発などを推進する研究施設に対して、供給しています。

柴祐司講師について

幹細胞を用いた心血管病の再生医療の研究者で循環器専門医(臨床医)です。ES・iPS細胞の心筋再生において、世界的レベルの研究成果と臨床応用を目指しており、小動物の心不全モデルに対しては既に成果を出しています。2014年4月から2017年3月にかけては、「移植免疫寛容霊長類モデルにおけるiPS細胞を用いた心筋再生療法の開発」というテーマで科研費を基礎研究(B)にて獲得しています。
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