JCRが独自技術を適用した新たなハンター症候群治療酵素の開発に着手

2015年4月14日にJCRファーマ株式会社(以下「JCRファーマ」)は、血液脳関門通過に関する技術を利用した新薬開発に着手したことを発表しました。この技術は、JCRファーマが独自で開発した「J-Brain Cargo」というもので、既存の酵素製剤が血液脳関門を通過できない事を克服する為に開発されました。これは、脳の毛細血管の内皮細胞表面に発現している受容体に着目したもので、この受容体を介して目的の薬剤を血液脳関門を通過させる技術です。J-Brain Cargoによって、血液脳関門通過効率は通常の20~100倍にも上がるため、静脈内投与によって十分量の薬剤を脳内へと届けることが可能になります。これにより、これまで治療が難しかった中枢神経系の疾患に対して、治療効果が期待できる見込みです。今回の新薬開発は、この技術の実用化第一弾として行なわれるもので、「JR-141」という血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素の開発を行ないます。この新薬は、J-Brain Cargoによって従来型のハンター症候群治療酵素を血液脳関門通過可能に改良したもので、動物実験では既に良好な結果が得られているとの事です。具体的な開発計画はこれからであるとし、専門医との相談の上、2016年度内に臨床試験を開始する見込みです。尚、JR-141の開発・販売におけるJCRファーマとの優先交渉権は、グラクソ・スミスクラインが有している模様です。

ハンター症候群と従来の治療薬について

ハンター症候群は、ムコ多糖症の一種で、ライソゾーム酵素が欠損している先天性疾患です。重症に近付くほど、中枢神経系の障害が問題となり、中枢神経系へ酵素を補充することが望まれています。しかし、脳への物質の侵入は、血液脳関門によって制限されており、これまでのハンター症候群治療酵素では脳内へ薬効を届かせることが出来ませんでした。このため、骨髄に直接投与するなどの方法も採られてきましたが、患者への負担が大きいことや、薬剤の目的箇所への到達が不十分といった課題がありました。

今後の新薬開発の動きについて

JCRファーマは、JR-141に続き、J-Brain Cargoを使った新薬を順次開発予定で、ハンター病以外のライソゾーム病に対する治療酵素を開発する見込みです。また、今期の業績への影響は軽微であるとしながらも、今後、売上に大きく貢献するだろうと期待を覗かせています。
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