JAMA誌に掲載された細気管支炎乳児の入院基準に関する新たな見解

The Journal of the American Medical Association(JAMA、米国医師会雑誌)に カナダ(トロント)の小児科医が次のような論文を投稿しました。「Effect of Oximetry on Hospitalization in Bronchiolitis: A Randomized Clinical Trial(細気管支炎乳児の入院率にパルスオキシメーターが与える影響:ランダ ム化比較試験)」この論文では、細気管支炎を患った乳児を入院させるか否かの 決定をする際に、パルスオキシメーターの値だけを参考にするのは適切ではない とし、今後パルスオキシメーターの測定値の活用法について再検討する必要があ るとしています。

細気管支炎とは?

細気管支炎とは、気管支や肺などの下気道と呼ばれる部分にウイルスが感染して 引き起こされる炎症性疾患です。生後6ヶ月の乳児がもっともかかり易い病気で す。細気管支炎にかかると、気管支が部分的に塞がるためも正常なガス交換が出 来なくなるので、血中の酸素濃度が減少します。

パルスオキシメーターとは?

パルスオキシメーターは、皮膚の外側からリアルタイムで血中酸素濃度を測定す る機械です。動脈に光を照射し、透過した光を測定することで、血中のヘモグロ ビンと結びついている酸素量を測定しています。

今回の論文の詳細

この論文の前提条件として、現在、細気管支炎と診断された乳児はパルスオキシ メーター測定値のみを参考に入院するか否かを決定されているという事実があり ます。今回の実験では、緊急救命室を細気管支炎で訪れた乳児で、血中の酸素飽 和度が88%以上のものを対象としました。乳児たちは無作為に、2つの緊急救命 室グループに割り当てられます。一つは正常な値が示されるパルスオキシメー ターを使うグループ【A】。もう一つは、3%だけパルスオキシメーターの値が高 く表示されるグループ【B】です。医師たちには、3%ほど値が高く表示されてい ることは伝えらないため、医師たちはその測定値を元に乳児の入院を決定するこ とになります。実際に、乳児たちが72時間以内にどれくらい入院することになっ たかというと、【A】108人のうち44人(41%)、【B】105人のうち26人(25%) という結果が出ました。この【A】と【B】には16%の有意差が出ており、パルス オキシメーター測定値を3%上げることで有意に入院率が減るということが分り ます。しかし、これらの乳児たちが、その後に予想外の受診などに訪れた割合は、 【A】108人中23人(21.3%)、【B】105人中15人(14.3%)となり、その差は 7%と有意差は認められませんでした。これらのことから、入院を決定するのに パルスオキシメーターの測定値だけを用いるのは適切ではなく、この測定値の扱 い方について再度検討する必要があると結論付けられています。